2025.02.06
お知らせ
地理的表示(GI)伊丹に「伊丹諸白 本醸造」ほか4商品が認定
2024年11月29日「地理的表示(GI)伊丹」の指定を受け、小西酒造株式会社は第一回確認審査に伊丹諸白本醸造他4商品を出品。2025年1月24日の確認審査で、上記基準を満たす商品として認定されました。
■「地理的表示(GI)伊丹」について※
2024年11月29日に伊丹の清酒は「米由来の甘みの中に、すっきりとした味わいが感じられる。」伊丹は「江戸時代から品質だけでなく輸送方法にもこだわり、酒どころとして知られるようになったとされる」とし「地理的表示(GI)伊丹」の指定を受けました。
■ロゴマークについて
今後「地理的表示(GI)伊丹」を表示して発売してまいります。
GI伊丹 ロゴ
清酒発祥の地 伊丹の酒は杉の樽に詰められ、船で江戸に運ばれる中で杉の香りを纏い、下り酒として江戸の人々に愛されました。将軍家にも飲まれるほどになった伊丹の酒は、偽物が出回るほどの人気となり、対策として伊丹の領主・近衛家から授かった「伊丹御改所」の焼印を押しました。この焼印が伊丹の酒が江戸時代からのブランドであった証でありGI伊丹のロゴのモチーフとなっています。
■認定酒 商品概要
超特撰白雪伊丹諸白本醸造
メーカー参考小売価格:1,400円(税抜)/720㎖
2,900円(税抜)/1.8ℓ
アルコール度数 :15度以上16度未満
日本酒度 :+2
内容量 :720㎖瓶詰、1.8ℓ瓶詰
超特撰白雪 伊丹諸白 樽酒720ML瓶詰化粧箱入
メーカー参考小売価格:7,000円(税抜)
アルコール度数 :15度以上16度未満
日本酒度 :+2
内容量 :720㎖瓶詰
超特撰白雪伊丹諸白大吟醸720ML瓶詰化粧箱入
メーカー参考小売価格:10,000円(税抜)
アルコール度数 :17度以上18度未満
日本酒度 :+2
内容量 :720㎖瓶詰
KONISHI 大吟醸ひやしぼり
メーカー参考小売価格:505円(税抜)/300㎖
1,061円(税抜)/720㎖
アルコール度数 :15度以上16度未満
日本酒度 :+1
内容量 :300㎖瓶詰、720㎖瓶詰
※地理的表示(GI)伊丹
国税庁HP
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/hyoji/chiri/241129_itami_besshi01.htm
(1)酒類の特性について
伊丹の清酒は、穏やかな麹と長尾山・北摂山系の良質な水を使用した、適度な甘味とキレのいい酸味が感じられる酒質である。
口に含むと、甘味や旨味からなるコクが広がるとともに、適度な酸味と苦味による余韻のキレが味全体に締まりを与えることにより、原料である米由来の甘味の中にきれいですっきりとした味わいが感じられる。
また、この地で醸造される本醸造酒・吟醸酒・大吟醸酒は、甘味、旨味及び酸味のバランスがとれた、さらにキレのある酒質となる。
(2)酒類の特性が酒類の産地に主として帰せられることについて
イ 自然的要因
産地の範囲である伊丹市は、兵庫県の南東に位置し、六甲山、長尾山及び北摂山系の山々に囲まれた、猪名川と武庫川の間になだらかに広がる丘陵地である。
数万年前、海が広がっていた伊丹市は、時代の変化とともに隆起した地盤に猪名川と武庫川が運んできた砂礫が積もり重なることにより、貝殻を含んだ粘土層と砂礫層が重なり合う特徴的な地層を形成している。
長尾山・北摂山系の山々に蓄えられた水は、これらの地層を通ることによって、適度なミネラル分を含む中硬水となると考えられている。これらの豊富で清冽な水を酒造用水に用いることにより、もろみの発酵をほどよく促し、よりきれいで渋みの少ない、すっきりとしたのど越しの良い酒質を生み出している。
また、伊丹市は、冬季に降水量が少ない瀬戸内気候である。北西からの季節風が六甲山に遮られ、雨を降らせた後の乾いた風が吹き下ろすことにより、乾燥した気候となる。この気候が、適度な甘味と旨味をもたらす破精込みが適度に進む麹造りを可能にしていることからも、冬場の酒造りに適した土地であったといえる。
ロ 人的要因
この地域の酒造りは、かつての城下町である伊丹郷町が発展した江戸時代に始まる。
天正2年(1574年)、織田信長の家臣であった荒木村重が伊丹城に入城し、城下町の整備を行ったことにより伊丹郷町の礎が形成され、寛文元年(1661年)には近衞家の領地となり、その庇護のもと酒造業が発展していった。
この時代の酒造りは、おもに京都や奈良の寺院での僧坊酒造業として行われていたが、伊丹を中心とする上方においては、商人により営業化され、江戸市場を主軸に江戸積酒造業として発展したことが伊丹の酒を語る上で欠かせない特徴の一つである。
江戸時代の庶民の食品について解説した「本朝食鑑」によると、麹米と掛米双方に高精白米を使用した「伊丹諸白」が、江戸の人々の好みに合った酒として台頭し始め、「丹醸」と呼ばれ、次第に江戸での人気を博すようになったとされている。江戸市場において伊丹の酒は、他郷の酒と比べて高値で取引された高級品であり、元文5年(1740年)頃になると、将軍家の「御前酒」となり重宝されていたことからも当時の人気ぶりがうかがえる。
このように伊丹の酒が江戸で人気を博した中、江戸市中を始め全国で模造品が出回り始める。これに対して、域内の生産者は近衞家及び幕府に対策を求めた結果、寛保3年(1743年)に近衞家は「伊丹御改所」と記した焼き印を各蔵に授けた。伊丹酒造家であっても他の産地造りの酒を「伊丹酒」と銘打って販売していた者はこの近衞家の焼き印が没収されるという罰則付きで、現在の地理的表示としての性格を強く帯びたものであった。
また、伊丹の醸造技術の特徴として、木灰清澄法と柱焼酎の開発が挙げられる。木灰清澄法とは、木灰により清酒中の物質を吸着、沈殿させることにより、酒を清澄させる製法である。柱焼酎とは江戸への輸送の際の品質維持を目的としてもろみに添加する焼酎であり、この柱焼酎の開発により、上質な酒を江戸に送ることができたといわれている。
これらの製法は形を変えながらも、現在まで伝承される重要な技術であり、伊丹の酒造りが発展した一因と考えられている。さらに品質向上への取組だけでなく、江戸の需要に応えるため、仕込み日数短縮による大量生産を可能にし、長時間の江戸への輸送に品質が耐えられるよう、仕込容器や輸送容器に吉野杉の樽を使用するなどしていた。
このように生産方式や輸送方法にまで工夫を凝らすことにより、江戸での確固たる地位を確立してきた。
江戸時代から品質のみならず輸送方法までこだわり、創意工夫を凝らした伊丹の酒は、その伝統と日本山海名産図会等の成書及び数多の酒造家所蔵の古文書に、その黎明期から近代にいたるまでの酒造の実態が詳細に記録されている酒造地であることや現在でもその製法が継承されていることが評価され、令和2年に「伊丹諸白」が文化庁により日本遺産に認定されるに至っている。