小西酒造株式会社

山は富士 酒は白雪

1550 年(天文 19 年)、伊丹で薬種業を興した小西家が清酒造りを本業とするようになったのは、1612 年(慶長 17 年)ごろのこと。
高度な技術で丹念に仕込んだ酒は、しだいに江戸へも運送されるようになります。
1635 年(寛永 12 年)ごろ、二代目の宗宅が酒樽を馬の背に載せて運んでいた途中、ふと目にした富士山。
雪をいただいた気高い姿に心を奪われた宗宅は、自身の清酒にそのイメージを重ね、「白雪」と名づけたのです。
いまでは、白雪は現存する最古の清酒銘柄となっています。

伊丹発、
江戸で待たれた「下り酒」

菱垣廻船安治川口出帆之図(伊丹市立博物館蔵)

伊丹発、江戸で待たれた「下り酒」

上方から遠く離れた江戸においても、品質に抜きん出た伊丹諸白の人気はうなぎ上り。
伊丹の酒を総じて「丹醸(たんじょう)」と称されるなど、特別な存在感を放っていました。
高まりつづける需要に応えるため、樽廻船を使用した「下り酒」と呼ばれる大量輸送がスタート。
1784 年(天明 4 年)に猪名川を運航するルートが採用されるようになると、輸送量もますますアップ。
人口が増えはじめてきた江戸での地位を確固たるものにしていきます。

ニセ白雪、市場を騒がせる

伊丹御改所焼印(伊丹市立博物館蔵)

すっかりブランド化した伊丹の清酒は、その価値の高さから、しばしば酒銘を盗用した贋酒(にせざけ)が出回る事態に。
白雪を含むさまざまな銘柄が自家酒銘を変更したり、伊丹の領主・近衛家から預かった
「伊丹御改所」の焼印を押すなどの対策を余儀なくされました。
しかし江戸時代を通して、贋酒を完全に駆逐するには至りませんでした。

日本最古の銘柄「白雪」

私たちがずっと造ってきたのは、食事を引き立て、会話が弾む、そんなお酒。
うまみ、コク、キレ、余韻のよい調和をうみだすために、麹から、菌たちが機嫌よく働ける環境を考え続けます。
だから、飲み疲れない、優しいお酒で応えてくれる。
人と人が楽しく交わる食卓の一助として、みなさまの記憶に残りたい、これからもずっと。
清酒発祥の地・伊丹の日本最古の銘柄だからこそ、日本でいちばん誠実に、きれいなお酒を、“白雪”。

白雪